黑猫寫眞館

黑猫寫眞館〔19〕

「ん……」
額から頬に口付けられ、首を伝って腹、そして足の先まで。
彼の唇に触れられてないとこなんてもう無いんじゃないかと思うくらい、全身に口付けられた。
そのまま口に含まれて、口の中で一度いって、今度はうつ伏せにされて、後ろから中を指で執拗に解された。
指が中の気持ちいい所を行き来する度にびくりと体が跳ねる。そして徐々に快楽が腰に溜まっていくような感覚。
もうだめ、と思ったら指を抜かれて、行き場の無い快感がぐるぐると体内を回るようだ。
「マル、コ……」
荒い息で彼を呼ぶと、ごろりと容易く体が返される。立てた足の間に割り入った彼が、顔の横に腕を付いて、ちゅ、と口付けてくれた。顔が見えてほっと笑うと、彼も少し笑って髪を撫でてくれた。
いつの間にか汗で全身濡れている。彼が額に張り付いた髪を分けて、そこにキスをくれた。
「そんな声で呼ばれたら、困るよい」
「……何で？」
素直な疑問だったが、彼はふっと笑うと今度は頬に口付けた。
「……煽られるよい」
「なっ」
そういう言葉には慣れなくて、むっと睨むと、彼がまた、笑ってキスをくれた。
数度唇で触れると、彼が少し体を起こす。彼が足を持ち上げて、後ろに熱を宛がった。
その熱さにぎゅっと体を固くしてしまうと、片手で足を押さえたまま、もう片方の手で彼が宥めるように頬を撫でる。
そして少し体を倒して、また唇に触れる。数度触れて、今度は深くなったそれに互いに舌を絡めると、ぐい、と彼が押し入って来た。
「……っ」
ふっと息を漏らしたが、彼の舌が逃がしてくれない。息苦しいが、だけれどざらりと絡めた舌が粘膜を擦り気持ちが良い。
「……んっ」
唇の隙間から甘い息が漏れる。
「ん……あっ」
唇が離れた瞬間にぐい、と押し入られて、思わず声が漏れてしまう。恥ずかしさに顔を背けたが、彼がまた、やさしくキスをくれた。
彼がぐい、と足を持ち直すと、ぐっと体重を掛ける。ぐっと増した質量に体を割り開かれる。
「……んっ、ああ……」
息を吐いたのを見計らってか、ぐっと一気に奥まで入り込むと、彼が動きを止めた。
ふうふうと息を吐く。繋がった所が凄く熱い。
彼が顔を近づけたかと思うと、ちゅ、と口付けられる。
「奥まで入ったよい」
「……ん」
そのまま暫く動かず、キスをくれる。だけれど、昂ぶったまま吐き出していない体は、痛みが引くと徐々にまたその熱を思い出すようだ。
段々我慢できなくて、少し腰を揺らめかすと、キスをしていた彼がふっと笑った。
「……欲しいのかよい？」
「……欲しい」
素直にそう答えると、彼がふっと笑う。そして彼がゆるゆると腰を動かす。十分に塗り込められた潤滑剤のジェルで、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が立つ。それは十分な滑りを持って、狭い所をスムーズに出入りするのが酷く気持ちがいい。
「……んっ、あ……っ」
彼が、自分の気持ちのいい所を狙って動いて擦られると、堪らず声が漏れた。
「……まだ二回目なのにねい」
「……マルコがっ、んっ」
思わず文句を言ってやろうと思ったけれど、動きに声が途切れる。
ぎりぎりまで抜いて、またぐっと中を強く穿たれ強く刺激されて、声を抑えるのに必死だ。
繰り返される動きにどんどん気持ちよさが上がって行く。思考がぶれる。翻弄されるようで、でも、マルコが好きで堪らない。
「……マルコ、すき……っ！」
思わずそう告げると、彼がくっと呻いた。
「……手加減、してやれねえよい！」
「……いい、から……っ」
彼の背に手を回すと、彼が愛しくて、そしてこの熱をなんとかして欲しくて、ぎゅうと抱きつく。
彼が手を延べて、前をぎゅっと掴まれる。欲しくて堪らなかった直接的な刺激に、ぶるっと体が震えた。
「……ああっ」
そのままガツガツと腰をぶつけられる。前と後ろの同時の快楽で、目が回るようだ。必死に彼にしがみ付いて、後はただ為されるがままに身を委ねた。